低価格PCに搭載されている AMD 3020E (amd3020e) の性能について、気になる方が多いようなので、IntelのCPUと比較してどれくらいの性能になるかを解説したいと思います。
AMD3020E搭載のノートPCは安かろう悪かろうなのか?それともコストパフォーマンス抜群なのか、興味のある方は、是非この記事をご一読ください。
AMD 3020E とは
2020年8月5日、AMDにより発表されたノートPC用のCPUで、 グラフィック機能(GPU)が統合されています。
インテル製CPUにおいても大半がグラフィック機能を統合していますが、AMDではインテルとの差別化を図るため、APU(accelerated processing unit)という呼び方をしています。
CPUは通常、インテルなら Celelon、Pentium、Core-i、Xeon など、AMDだと Duron、Athron、Rayzenなどラインナップに応じて冠名が付けられていますが、3020E は単にメーカー名のAMDが付くだけになっています。
AMD 3020E の基本スペックは次の通りです。
CPU | コア数:2 スレッド数:2 |
基本クロック | 標準:1.2GHz 最大ブースト時: 2.6GHz |
グラフィック | Radion RX Vega 3 (1000MHz コア3基) |
ちなみに、CPUのアーキティクチャは2017年に登場した初代Rayzen と同じ Zen アーキティクチャが使われています。
Zenアーキティクチャは Zen→Zen+→Zen2→Zen3と進化してきましたので、4世代前のRyzenが価格を下げ、AMD3020Eとして生まれ変わったと考えられます。
AMD 3020E は 第7世代のINTEL Core-i3 並み
ベンチマークテストで計測したCPUとGPUのスコアを比較すると、 AMD 3020E は
2015年に発売されたCore-i7(5世代)、2017年に発売されたCore-i3(7世代)とほぼ互角の性能だと考えて差し支えありません。
ただ、グラフィック性能(GPU)については、第7世代のCore-3やCore-5 に搭載されている「 Intel HD Graphics 620 」の1.56倍も性能が高く、2020年に発売された10世代目の Core-i3やCore-5に搭載されている「Intel UHD Graphics(第10世代)」に迫る性能を誇っています。
これだけの性能を持っているので、次の用途でお使い頂けます。
- ワード、エクセル、パワーポイントなどの文書作成
- メールの送受信
- ウェブサイトの閲覧
- Zoomによるテレビ会議
- 人事や会計ソフトなどの事務処理アプリの利用程度
- PythonやRuby,PHP、C#やJavaなどのプログラミングの学習
- 趣味や仕事で使うちょっとしたプログラムの開発
- 十数分程度のフルハイビジョン画質の簡単な動画編集(カット、結合など)
- デジタル一眼レフカメラで撮影した生データの現像
- フォトレタッチ
但し、PCの性能はCPUだけで決まるものではなく、メモリ容量や内蔵ストレージの性能に強く関わってきます。
最近のノートPCはメモリやストレージの増設が出来ない製品が多い為、このCPUを搭載した低価格PCの購入をお考えであれば、予算が許す限りメモリは8GB以上、内蔵ストレージはSSDの128GB以上の製品をお勧めします。
ベンチマークで性能を比較
結論を先に描きましたが、ここからはその根拠について説明しておきます。
まず下記は、AMD 3020E のCPUスコア(PassMark)を中心に、その前後のスコアを持つCPUを一覧にしたものです。
尚、GPUのスコアは Fire Strike の値を記載しています。
製品 | CPU スコア | コア 数 | スレッド 数 | クロック数 (定格~最大) | グラフィック | GPU スコア |
---|---|---|---|---|---|---|
Core i3 10110U | 4213 | 2 | 4 | 2.1GHz~ 4.1GHz | Intel UHD Graphics(第10世代) | 1428 |
Core i5 7200U | 3359 | 2 | 4 | 2.5GHz ~ 3.1GHz | Intel HD Graphics 620 | 808 |
Core i5 6200U | 3034 | 2 | 4 | 2.3GHz ~ 2.8GHz | Intel HD Graphics 520 | 707 |
Core i3 7100U | 2774 | 2 | 4 | 2.4GHz | Intel HD Graphics 620 | 808 |
AMD 3020e | 2727 | 2 | 2 | 1.2GHz ~ 2.6GHz | Radion RX Vega 3 | 1260 |
Core i7 5500U | 2705 | 2 | 4 | 2.4GHz ~ 3.0GHz | Intel HD Graphics 5500 | 594 |
Core i3 7020U | 2601 | 2 | 4 | 2.3GHz | Intel HD Graphics 620 | 808 |
Core i7 4510U | 2578 | 2 | 4 | 2.0GHz ~ 3.1GHz | Intel HD Graphics 4400 | 492 |
Celeron N4120 | 2480 | 4 | 4 | 1.1GHz ~ 2.6GHz | Intel HD Graphics 600 | 391 |
先ほども述べましたが、AMD 3020E は初代(4世代前)のRyzenと同じものであるため、当時のCore-i シリーズの競合製品として投入されたものと言えます。
これはベンチマークを見ても明かな通りで、初代RyzenのターゲットはCore-iの7世代に当たるため、Core-i3の7世代目とほぼ同じ性能になっています。
AMDのCPU(APU)のグラフィック性能はインテルより優れているという話はよく聞きますが、それはベンチマークにもはっきり表れています。
7世代のCore-i3、Core-i5 に搭載されている「 Intel HD Graphics 620 」よりも1.5倍以上性能が良く、10世代のCorei-3のグラフィック性能に匹敵する性能を持っていることが分かります。
AMD 3020e搭載の低価格ノートPC
HP 15s-eq1000 エントリーモデルG2 37,000円
低価格ながら15.6インチのIPSフルハイビジョン液晶を搭載している点がポイントです。
重量は1.6kg なので常に持ち運ぶには厳しいですが、家の中で移動する程度であれば苦にならない重さです。
メモリ容量が4GBなので、動画編集などは出来ないと考えてください。
ワードやエクセル、パワーポイントなどでの文書作成、メール送受信、Webサイトの閲覧、YouTube動画の閲覧などの軽作業を行う程度であれば問題はありません。
但し、ワードとエクセルの文書を複数開いて編集するとか、いくつかのプログラムを同時並行で使う場合にはメモリ不足が発生し、動作が極めて遅く(重く)なると思いますので、そこはご注意下さい。
この機種はメモリ交換が出来ません(厳密には、裏蓋のネジを外して裏蓋を開ければメモリ交換は可能ですが、その時点で保証が切れます)ので、購入の際は割り切りが必要です。
型番 | HP 15s-eq1000 エントリーモデルG2 |
価格 | 37,000円 |
メーカー | HP |
発売日 | 2021年 8月 6日 |
スペック | 15.6インチワイド・フルHD・IPSディスプレイ(1920×1080)非光沢 AMD 3020e with Radeon™ グラフィックス ストレージ:128GB M.2 SATA-SSD メモリ容量:4GB OS:Windows 10 (Sモード) 重量:1.6kg バッテリー稼働時間:9時間30分 内蔵カメラ:搭載 |
その他 | メモリ及びストレージの交換は不可 WiFi5対応、Bluetooth5.0対応 |
まとめ
今回は AMD 3020E(amd3020e)の性能がどれほどかを知るため、ネットで公表されているベンチーマークの値からインテルのCore-iシリーズと比較してみました。
そして、その性能を元に、このCPUを搭載したノートPCであれば、どのような作業まで使えるかについても触れました。
この記事は2021年の10月30日に書いていますが、現時点において7世代前(2017年)の Core-i 3に匹敵する性能を持っています。
私自身も6世代前のCore-i 3 搭載ノートPCを使っていますが、 文書作成やちょっとしたプログラム開発なんかは普通に使えていますので、値段によっては購入するのも有りかと思います。
この記事が、皆さんのPC購入の参考になれば幸いです。
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