2023年2月8日から一部のユーザー向けに公開されていた Bing AI ですが、いよいよ 5月8日 から一般公開されるようになりました。
Bing AIの登場で、今までのウェブ検索のやり方が大きく変わろうとしています。
とはいえ、Bing AIがどんなもなのか、ChatGPTと何が違うのか、いまいち理解できないない人も多いはず。
ということで、本記事では、Bing AI の概要、ChatGPTとの違い、Bing AIの使い方について分かりやすく説明しますので、興味のある方は是非ご一読ください。
Bing AIとは?

Bing AIとは、マイクロソフトが提供する検索エンジン「Bing」に搭載されたAIのことです。
2022年11月に登場し、2023年前半に大ブレイクしたChatGPTは既にご存じだと思いますが、ChatGPTの有料サービスで利用可能な最新版のAI(GPT-4)を「Bing」向けにカスタマイズしたものになります。
Bing AI と ChatGPT はチャットボットに分類され、利用者と対話形式で質疑応答を繰り返す点は共通です。
しかし、Bing AIは検索エンジンと融合しているため、常にウェブ検索の結果をもとに回答してくれる点が異なります。
また、Bing AI は単なる「検索エンジン向けチャットボット」にとどまらず、マイクロソフトのクラウドサービス、ワードやエクセルなどのオフィス製品などに組み込まれることが決まっており、日常業務に大きな変革が持たらされることが期待できます。
尚、Bing AI へは、下記URLからジャンプできます。


Bing AIとChatGPTの違い

Bing AI はChatGPTと同じく「大規模言語モデル」に分類されるAIであり、その卓越した文書生成能力により、あたかも人と会話しているかのようにチャットで質疑応答できる点は共通しています。
しかし、ChatGPTは2021年9月時点のウェブデータを使って回答しているのに対し、Bing AIは常にウェブから最新の情報を検索し、情報の入手先(サイトURL)と併せて回答してくれる点が異なります。
また、ChatGPTの無料版で利用できるのはGPT-3(正確にはGPT-3.5)であり、GPT-4は有料プランでないと利用できないのに対し、Bing AI は 検索エンジン「Bing」を通して無料でGPT-4 を利用できる点が優れています。

上記以外にも様々な違いがありますので、併せて一覧表にまとめておきました。
項目 | BING AI | ChatGPT |
---|---|---|
AIモデル | カスタマイズしたGPT-4を搭載 (開発コードPrometheus) | GPT-3.5を搭載 有料プランのみGPT-4が利用可能 |
情報の鮮度 | ウェブの最新情報を使った回答 | 2021年9月までのデータが基になる |
情報の出典 | 情報入手元のリンクを提示 | 何から情報を入手したかは不明 |
会話のスタイル | 独創性、バランス、厳密の3種類から選べる | 一種類のみ |
文字数や回答数の制約 | 1回あたり2,000文字まで 1スレッドあたり20回まで | 1回あたり2000文字程度 1スレッドの制限な無し |
会話履歴 | 保持されない | 保持される |
利用できるブラウザ | マイクロソフト Edgeのみ | 特に制限なし |
料金 | 無料 | 無料プランと有料プラン(約2600円) |
ChatGPTは会話履歴を保持してくれますが、Bing AIは会話の履歴を保持してくれません。また1スレッド20回以上という制限があり、スレッドを変える(トピックを新しくする)と、それまでの内容が消えてしまいます。
ChatGPTも同じですが、同じ質問でも毎回異なる回答が返されますので、必要に応じて画面のスクショを取るか、表示されるテキストをコピーしてメモ帳などに張り付けておくなどの対策が必要です。
Bing AIの使い方

Bing AIへは、こちら から移動できます。
最初の画面
以下はBing AIの最初の画面です。「質問の入力エリア」にBing AIへの質問を入力し、エンターキーを押すか、「質問の入力エリア」に文字を入力すると表示される「実行ボタン」実行ボタンをマウスクリックします。

会話のスタイルを選択することで、Bing AIの回答のニュアンスを変えることが可能です。
以下は、「Bing AI の特徴を教えて」という質問に対して、会話のスタイルごとの回答例です。

通常は初期状態「よりバランスよく」のままで良いかと思います。
回答中の画面
Bing AIが回答中の時は、「応答を停止して」ボタンが表示されています。見当違いな答えが表示されたり、間違った内容を質問した場合、このボタンをクリックすると強制停止できます。

回答結果の表示画面
Bing AI の回答に続けて、回答に用いた情報の出典元サイトのリンクが表示されます。更に、回答に対して次に来るであろう質問の候補(サジェスト)のボタンも表示されます。
候補に質問したい内容が表示されていれば、それをクリックするだけで回答が得られます。

新しいトピックとは、スレッドを意味します。Bing AIの場合は20回までの制限があり、それを超えるとBing AIは回答を拒否されますのでご注意ください。
その場合は、「新しいトピック」のボタンをクリックしましょう。
Bing AIとChatGPT の回答比較

次に、Bing AI(GPT-4)とChartGPT(GPT-3.5)の回答比較をしてみたいと思います。
文書要約
最初に、文書要約です。下記はスタートレック公式サイトの一文です。これをChatGPTとBing AIに要約してもらいましょう。
次の文を要約して 本作では、歴代スタートレックシリーズのスタッフに加えて新たなクリエーターが活躍。企画・製作総指揮を務めるのは『スター・トレック』や『M:i:III』、「SCORPION/スコーピオン」、「HAWAII FIVE-0」、「FRINGE/フリンジ」シリーズのアレックス・カーツマンと、「スタートレック/ディープ・スペース・ナイン」、「スタートレック/ヴォイジャー」、「HEROES/ヒーローズ」シリーズのブライアン・フラー。また、『トランスフォーマー/最後の騎士王』、『ダ・ヴィンチ・コード』、「FRINGE/フリンジ」シリーズを手掛けるアキヴァ・ゴールズマンなどが結集。 そして本作にて注目すべきはVFXを駆使した映画にも劣らぬ映像美。壮大かつディテールに拘ったディスカバリーの外観や、宇宙に輝く未知なる惑星群、戦艦による迫力のアクションシーンなど見どころが盛りだくさん! また、主人公マイケルと彼女を取り巻くクルーたちが繰り広げるドラマなど、従来のスタートレックファンはもちろん、本作から初めてスタートレックを見るという人でも楽しめる内容となっている。 個性的なキャラクターを演じる実力派キャストたちに注目!
引用元:スタートレック公式サイト「スタートレック・ディスカバリー」より
ChatGPTの回答
『スタートレック』シリーズの新作『ディスカバリー』は、従来のスタッフに加えてアレックス・カーツマン、ブライアン・フラー、アキヴァ・ゴールズマンなどが結集し、VFXを駆使した美しい映像や個性的なキャラクター、ドラマが詰まった作品となっている。この作品は、従来のファンだけでなく初めてスタートレックを見る人でも楽しめる内容となっている。
Bing AIの回答
本作は『スター・トレック』シリーズの新作で、宇宙戦艦ディスカバリーの副長マイケルと仲間たちが大宇宙での戦いや冒険を描く。映画並みの映像美や個性的なキャラクター、豪華なスタッフとキャストが魅力。
どちらが良いというより、好みで判定が分かれそうですね。どっちも素晴らしい。よくぞここまで要約してくれるのは、感動もんです。
プログラムの生成
次は、「PythonでCSVを読み込むプログラムのサンプルを提示して」という指示をして、ChatGPTとBingAIにプログラムを組んでもらいました。
ChatGPTの回答

Bing AIの回答

簡単なプログラム生成の場合は優劣つけがたいですね。ただし、コピペして使うには、ChatGPTの方が使いやすそうです。
今回はこのような結果になりましたが、ChatGPTでもソースを細切れに区切って説明してくる場合もありますし、逆にBing AIでもソース一式をまとめて提示してくれることもあります。
この辺は指示の仕方(プロンプト)次第で何とでもなりますので、あまり気にする必要は無いでしょう。
Bing AIの今後

マイクロソフトは、自社のサービスにBing AIを搭載することを公表しています。例えば、以下のことが考えられます。
誰でも簡単にハイレベルなドキュメント作成
OfficeサービスにBing AIを搭載することで、文章の作成や編集や翻訳などにAIの支援を受けることができます。例えば、Wordで文章を書くときに、Bing AIが文法や表現や内容の改善を提案したり、PowerPointでプレゼンテーションを作るときに、Bing AIがデザインやレイアウトや画像の選択を助けたりすることができるようになるでしょう。
ウェブ閲覧で様々な情報を入手したり、様々なサービスとの連携
EdgeブラウザにBing AIを搭載することで、ウェブ上の情報やサービスに簡単にアクセスできるようになる。例えば、Edgeでウェブページを閲覧するときに、Bing AIが関連する情報や動画や画像などを表示したり、Edgeで検索するときに、Bing AIが自然言語で回答したり、コンテンツを生成したりすることができるようになるでしょう。
今までに無いユーザー体験の実現
XboxでのゲームプレイやSkypeでのビデオチャットにBing AIが搭載されることで、今までにないユーザー体験が実現するでしょう。例えば、ゲーム内のキャラクターやアイテム、ストーリーを自動生成し、プレーヤーの行動に応じたてストーリーが変化したり、Skypeでのビデオチャットにおいては、Bing AIがリアルタイムで字幕や翻訳、フィルターなどを提供し、よりスムーズで快適なコミュニケーションが実現できるようになるでしょう。
まとめ
今回はBing AIについて、ChatGPTとの違いも含めながら解説致しました。
Bing AI は ChatGPTの有料版で利用可能な最新の大規模言語モデル「GPT-4」をベースに、検索エンジンと融合させたAIです。
Bing AIはWindows標準搭載のブラウザ「Edge」でのみ動作するという制限はあるものの、誰でも無料で使うことが出来ます。
更に、今後マイクロソフトの製品やサービスに組み込まれることが公表されており、今までにないユーザー体験、生産性、利便性をもたらしてくれることでしょう。
そして、これまで独り勝ちだった検索エンジンのシェアの多くを、Googleから奪い取る可能性を秘めています。
もちろんGoogleも負けじと「Bard」という新たなAIを自社検索エンジンに組み込もうとしていますし、PaLMやLaMDAといった優れたAIを自社サービスに組み込むことで、シェア拡大を狙ってくることでしょう。
今後どのようになっていくのか、非常に楽しみです。