IT業界の人材不足が囁かれるなか、プログラマの人気が急上昇しています。
少し前までは、プログラマーになるために専門学校に通うというのが一般的だったのですが、最近は現役エンジニアを講師に招き、低価格、短時間でスキル習得を謳い文句とするプログラミングスクールが数多く登場してきました。
それでは、プログラマを目指すあなたにとって、どちらを選ぶべきなのでしょう?
この記事では、高卒を前提にプログラマを目指す場合、プログラミングスクールと専門学校のどちらを選べばよいかを、両者を比較しながら説明したいと思います。
選ぶ基準は安定志向やチャレンジ志向か
結論から先に言うと、もしあなたが安定志向なら専門学校、一発逆転を望むチャレンジ精神旺盛ならプログラミングスクールと考えればいいでしょう。
というのは、専門学校はあくまでも学校であり、プログラミングスクールはスクールと言いつつ学校ではなく、職業訓練所みたいなものだからです。
それでは、これについて詳しく説明していきますね。
プログラミングスクールと専門学校の比較

ざっくりとプログラミングスクールと専門学校の比較をしてみました。
一番大きいのが、専門学校生は学生として優遇され、「専門学校卒」の学歴が手に入れられるのに対し、プログラミングスクールは学割や学歴とは無縁であるという事です。
また、プログラミングスクールは学歴に関係なく入学できますが、専門学校は高卒でないと入学出来ません。
比較項目 | プログラミングスクール | 専門学校 |
---|---|---|
期間 | 数週間~半年 | 1~4年 |
受験 資格 | 無し (一部、年齢制限を設けているスクールあり) | 高卒以上 |
入学 試験 | 無し | OA入試の場合は免除されるケースが大半 (特待生を希望する場合は試験有り |
入学 時期 | 随時受け付けてくれる場合が大半 | 4月 |
学費 | 数万円~80万円 | 100万~500万 |
受講 形態 | オンライン授業 (スクールによって一部対面有り) | 対面授業が中心 |
講師 | スクール専属講師 (現役エンジニア多数) | 専門学校専属の教師 (大学講師、元エンジニア多数) |
学割 | 無し | 有り(通学定期、各種施設等) |
学位 | 無し | 専門士、高度専門士 (多くの企業では短大卒と同じ) |
資格 取得 | サポート無し | サポート有り (基本情報技術、システムアーキテクト等) |
就職先 | 自社又は提携している企業、 就職エージェント | 企業の求人に基づく推薦 |
その他 | スクールにより学費全額無料の制度あり 自社就職エージェント経由で就職、 最終的に就職・転職が出来なかった等 | 特待生による学費割引制度 プログラミング以外の関連知識の習得 学生生活 |
プログラミングスクールの特徴

プログラミングスクールは短期間でプログラミングのスキル習得を目指しており、現役エンジニアが講師やメンター(相談役)を担当しているスクールも多く存在します。
また、プログラミングスクールの大半はWeb系エンジニアを対象としており、プログラミング言語は フロントエンド(画面のUI)系としてHTML、CSS、JavaScript、バックエンド(サーバ側での処理)としてJava、PHP、Ruby のいづれか(又は複数)を選択できるようになっています。
1つの言語を受講するのに16万~20万程度の費用が掛かるスクールが多く、複数言語を学ぶためには言語毎に16万~20万円の追加が必要になる場合が多いです。
ただ、複数言語を選択すると2言語目以降はディスカウントされたり、上限の80万円を支払うことでスクールが用意している全ての言語が学び放題になるなど、様々な特典が用意しているスクールが大半です。
ちなみに、ゲームプログラミングを教えてくれるスクールはほとんど無いので、その場合は専門学校を選ぶことになります。

専門学校の特徴

2年間又は3年間でプログラミングに関するカリキュラムをこなします。
車の運転に例えると、プログラミング言語は運転技術そのものです。
運転技術だけがあっても、道路交通法や目的地へのルートが分からないと目的地に辿り着けないのと同様、プログラミング言語だけ知っていても、仕事は出来ません。
プログラマーになるためには、プログラミング言語以外のスキル、例えばOSの知識、ソースコードの管理、チーム開発の方法、ドメイン知識(対象となる業務、又は業界に関する知識)などが必要です。
専門学校はプログラミングだけでなく、ドメイン知識(農業、医療、海洋、金融、ゲーム、AI)も含めたカリキュラムが用意されており、将来自分が進むべき分野で必要となる知識を、総合的に学ぶことができるようになっています。
また、どの専門学校も情報処理の資格取得に関して手厚いサポートを行っており、ほとんどの学生が在学中に「基本情報」「応用情報」などの国家試験に合格しています。
講師についても、大学教授、助教授、実務経験豊富な元エンジニアが教壇に立っている学校も多く、カリキュラム自体にも学校独自の特色を持っています。
例えば、アミューズメントメディア専門学院 は、商用ゲーム作品の開発機関「AMG Games」を設立しており、同校の6学科(ゲームプログラマー学科、キャラクターデザイン科、声優学科、ゲーム・アニメ3DCG学科、ゲームクリエイター学科)による産学共同によるゲーム制作が特徴です。
ゲームプログラマー科は最近流行のAIにも力を入れているので、興味がある方はこちらの記事をご一読下さい。
東京と大阪に学校があるので、興味のある方は下記のURLから資料請求してみて下さい。
生涯賃金は専門学校卒が有利

独立行政法人「労働政策研究所・研究機構」が公開している統計情報「ユースフル労働統計2020」には生涯年収が記載されています。
多くの企業において、専門学校卒は短大卒と同様に扱われることが多い為、高卒と短大卒で比較するならば、約900万円の差があることが分かります。
高卒は短大卒に比べて2年間余分に働いて収入を得ていながら、これだけの差が生じることになります。
高卒でプログラミングスクールに通うよりも、専門学校に通う方が、たとえ学費が掛かったとしても十分元が取れて、且つ700~800万円の更なる収入が期待できるのです。
今すぐ働きたい、金銭的な余裕が無いなどの場合はともかくとして、時間的・金銭的に余裕があるのなら、専門学校に通う方がメリットは多いと思います。

就職先は専門学校の方が無難

次に、就職先に目を向けてみましょう。
プログラミングスクールのほとんどが就職/転職活動をサポートしています。
スクールの親会社が就職エージェントを経営していたり、どこかの就職エージェントと業務提携していたり、あるいはスクール協賛企業からの紹介を受けたりなど様々ですが、履歴書の書き方や面接の指導などを無料でサポートしてくれるスクールが大半です。
ただ、就職エージェントは、企業に人材を紹介することで斡旋料を得るというビジネスモデルですから、エージェント(或いは担当者)によっては利益優先でブラック企業を勧めてくるケースも存在します。
転職エージェントは就職/転職希望者にとって有力な武器ですが、斡旋された企業の質を見極めるだけの目利きが必要になります。
一方、専門学校は良くも悪くも学校であるため、自分の生徒を少しでも良い会社に就職させたいという意識を持っていますし、就職先の良し悪しが学校自身のアドバンテージとなっています。
一概には言えませんが、以上のような理由から、専門学校の方が安心度は高いと言えそうです。
尚、就職率に関しては専門学校が98~100%に対し、プログラミングスクールは1~2ポイント低い程度なので、それほど大きな違いは無いと思われます。
プログラミングスキルは短時間で身に付くもの?

プログラミングスクールと専門学校では、卒業までの期間が大幅に違いますよね。
プログラミングスクールだと数週間~半年、専門学校は短くても1年、一般的には2年に及ぶ勉強期間が必要になります。
じゃあ、そもそも数週間~半年でスキルは身に付くものなのでしょうか?
答えは、YESです。
プログラミング言語の種類にもよりますが、おおよそ800時間~1000時間(だいたい半年くらい)が1つの目安となっています。
だいたい新人研修で2~3ヶ月プログラミング実習を行い、プロジェクトに配属されてから3ヶ月~4ヵ月経過した時点で、一部分の開発を任せられるといったところでしょうか。
プログラミングに関する基本的な内容を身に付けるだけなら、数週間あれば大丈夫です。
3ヶ月くらいやり続けると、ある程度簡単なプログラムは自力で組めるようになります。
ただ、この段階だとプログラミングをスラスラ書けるというレベルには達していません。
さらに3ヶ月経過すると、ようやく今担当している分野において、ある程度スラスラ書けるようになってきます。
プログラミングスクールに半年間通って身に付くスキルは、それまでに学んだプログラミング言語やその世界観の中で、スラスラ書けるようになると考えて良いと思います。
プログラミングスクールでフリーランスになれるか?

結論から言うと、可能です。
ただ、プログラミングスクールに出たからフリーランスになれるのではなく、フリーランスとしての実力が付いたときにフリーランスになれます。
つまり、専門学校であろうと、プログラミングスクール出身者であろうと、実力があれば成れるし、実力が無ければ成れません。
また、「フリーランスになって年収1000間年を目指せ」みないた事が言われていますが、目指すことは可能でも到達することは相当難しいと言えます。
フリーランスになっても収入が上がる保証は無く、更に「仕事が安定しない」「有休が無い」「保険や保証が無い」「確定申告は自力で作成する」などなど、デメリットもあります。
プログラミングスクールや専門学校に通ったからと言って、即フリーランスで高収入を得られる訳ではなく、仕事をこなしてフリーランスにふさわしい実力を付ける必要があるという事は理解しておくべきでしょう。
まとめ
今回は、高校を卒業してプログラマーを目指す場合、プログラミング・スクールと専門学校のどちらを選ぶべきかについて、両者を比較してみました。
私としては、時間とお金に余裕があるなら専門学校をお勧めします。
理由は、専門学校の方がプログラミング以外の知識も習得でき、就職先も比較的安心だからです。
ただし、人によってはプログラミングスキルだけを身に付けて、あとは実践でスキルアップを図りたいという考えもあります。
その場合は、プログラミングスクールを選ぶべきでしょう。
他の業界に比べてIT業界はフリーランスで高収入を得やすいという特徴もありますので、どちらを選んでも本人の努力次第で道は開けます。
是非頑張ってプログラマーの夢を実現して下さい。

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