新卒であれば、文系であろうがプログラミング未経験であろうが、意欲があればプログラマーとして就職できます。
しかし、一旦畑違いの会社で社会人になってから、プログラマーとして転職しようとすると話は変わってきます。
プログラマー不足と言われる昨今ではありますが、誰でも簡単になれるものでもありません。
私の過去の経験や現状の状況を踏まえると、プログラミング未経験者がプログラマーで転職できるのは、30歳前半が限界ではないかと思っています。
その理由について、今回は解説しましょう。
30歳未経験からの転職が難しい3つの理由

まず最初に、なぜ30歳未経験からのプログラマーへの転職が難しいかについて、解説したいと思います。
30歳未経験を雇うメリットが無い
社会的通念として、「若い方が物事を覚えるのも早い」というのがありますよね。
プログラミングは集中力と根気が必要なので、年齢が高くなるにつれ、その能力も衰えると考えられています。
また、年齢が若い方が当然給料も安くて済むことと、将来少しでも多く働いてもらえるというメリットもあります。
企業にとって未経験者の採用は将来への投資になるため、できるだけ低コストで技術者を育てていきたいわけです。
プログラマーの平均年齢を政府統計データの「賃金構造基本統計調査」(2018年調査、2019年公開)から計算すると、約32歳となりますが、これは早くからプログラマーとして活動している人が多い事を現わしています。
会社としても30歳を超えるあたりから、若手メンバーを引っ張っていくリーダー的立場での仕事を期待してくるため、経験者ならともかく、30歳未経験を採用するメリットがありません。
プログラマー不足と言っても、誰でもウェルカムではない
経済産業省の2018年「IT人材需供給に関する調査」によると、2030年には約79万人の人材不足になると予測されています。

だからと言って、プログラマーに早々簡単になれるわけではありません。
逆に言うと、そうそう簡単にプログラマーが育成できないからこそ、79万人も不足するという事が言えます。
これは私の経験上言える事なのですが、プログラマーとしての素養というものが確かに存在します。
以前、自社とパートナー企業(プログラマー派遣会社)の新入社員を集めてプログラマー向け新人研修を行っていた時のことです。
同じことを教えても、飲み込みの良い人とそうでない人はいましたが、大半は本人の努力と時間が解決してくれます。
しかし、そんな中に、どうしても理論立ててプログラムを組み立てられない人が存在します。
50人から100人に1人程度なのですが、本人の意思とは裏腹に、どうしても処理手順を論理的に組み立てられないのです。
サンプルプログラムを渡して説明しても、その応用が出来ないので、結局プログラムを何一つ完成させられませんでした。
20代の若手であれば、IT業界に見切りをつけて他業種へ転職が可能ですが、30歳で転職となると、次の会社を選ぶのも一苦労することになります。
会社としても、そのようなリスクも考えると、やはり30歳未経験の採用には二の足を踏んでしまいます。
求人が極端に少なく、就職先を探すのが困難
今までのことからも分かるように、そもそも企業側にメリットが無い訳ですから、求人が極端に少なく、就職先を探すのが非常に困難です。
あったとしても、人材派遣をメインとする数十人規模の会社や、常に人の入れ替わりが多いブラック企業である可能性が高いでしょう。
人材を募集している企業に手あたり次第に応募するという方法は現実的ではありませんから、ビズリーチやリクルートエージェント等の転職支援サイトに登録するというのが一番よさそうですが、それでも決して楽ではありません。
困難だが、本気なら30歳は最後のチャンス

いかがでしょう。30歳未経験でプログラマーに転職するのが、いかに難しいかがお分かりいただけたでしょうか。
しかし、では不可能かと言うと決してそうではありません。
現実に30歳代未経験で転職に成功している人もいます。
無論、そこには妥協もあるでしょうが、そこでスキルを積んで、本当に実力が付いたらな、フリーランスとしてやっていくことも可能です。
そして、もし本当にこれからプログラマーを目指したいのであれば、30歳のできるだけ早いうちに行動を起こしたほうが良いでしょう。
何度も言いますが、軽い気持ちで転職しても、決して成功はしません。
では、どうやれば未経験でも転職できるのでしょう。
それは、転職を希望する会社が欲しいものを、自分が持っているか否かです。
言い換えると、自分が持っている「やる気」と「スキル」を欲しがっている会社に、自分を売り込めば良いのです。
30歳未経験でプログラマーに転職するには

企業が人を採用するためには、企業側にメリットを感じてもらわなければなりません。
それでは、企業側にどのようなメリットを感じてもらえばよいのでしょうか?
面接担当者が最も心配するのは、「採用したは良いが結局スキルが身に付かなくて、途中で転職されてしまうこと」です。
プログラミングが全くの未経験である場合、本当にプログラマーとしてやっていけるのかは未知数です。
それを払拭してもらうためには、いかに「やる気」を見せるかになります。
最低限、プログラミングを経験しておくこと
職業としてのプログラマーが未経験であったとしても、プログラミングに対する姿勢や、プログラミング習得のための努力がアピールできれば、採用担当者も前向きに考えてくれるはずです。
プログラミングも自動車の運転と同じで、たとえば専門学校やプログラミングスクールでいくら勉強したとしても、それは路上運転に合格した、いわゆる仮免と同じです。
実際に仕事としてプロジェクトチームに参加する場合のプログラミングは、コーディング以外のスキルも必要となります。
免許をとって実際の路上を走ると、歩行者がたくさんいる狭い道を走らなければならなかったり、周りの車のスピードに合わせて走行したり、対向車に道を譲ったりなど、今まで経験してこなかった様々なことが起こります。
また、自分で調べて解決しなければならない事も多々あるでしょう。
そういう経験が無いというハンディはどうしようもありませんが、せめてプログラミングスキルだけでも、ある程度独学なりスクールに通うなりして、身に付けておくべきです。
プログラミングスクールについてはこちらの記事にまとめましたので、興味のある方はご一読ください。
また、本気でスクールに通うことを検討されるのであれば、その心構えをこちらの記事に書きましたので、これも合わせてご一読ください。
そして、そのスキルを用いて何らかのプログラムを作成し、ポートフォリオ(自分の能力を判断してもらえる作品など)として面接でアピールできれば、転職にとって強力な武器になります。
自分の業務知識が活かせる会社を狙う
プログラマーにとって大切なのは数学でも英語でもありません。
無論、これらのスキルがあるに越したことは有りませんが、それよりもっと大切なものはがあります。
それは、社会人としての経験で習得した「業務知識」です。
こちらの記事にも書きましたが、どんなに優秀な大学を卒業したとしても、業務知識は簡単に身に付くものではありません。
それが故に、業務知識は新卒者に比べて大きなアドバンテージがあるのです。
ここで注意してほしいのは、ただ単に業務知識があるというだけでは意味が有りません。
転職先が求めている業務知識と、自分が持っている業務知識のマッチングが重要なのです。
一口にプログラム開発と言っても、それを請け負う会社には様々な種類があり、得意不得意の分野が存在します。
プログラムは顧客の要望(課題、問題)を解決するための手段であり、顧客の業務における理解度によって、プログラムに掛かるコストや品質が変わってきます。
ですから、全ての業種を得意とする会社は存在しません。
その会社の生い立ちや関連会社、親会社によって、専門とする分野が変わります。
つまり、「転職前の職場で培ってきた業種や業界に関係するシステム」を専門に開発している、あるいは得意としている会社を狙えば良いのです。
もっと言うなら、これからその業種や業界に進出しようとしている会社であれば、さらに有利です。
転職支援サービスは最大限利用すべし

もし、人脈などがあって、その紹介で希望する会社に転職できるのであれば、それに越したことは有りません。
でも、多くの場合はそのようなコネクションは持っていないと思います。
ネットを使って自分で転職先を探して応募するという方法も可能ですが、それにはどうしても限界があります。
そうなると、やはり転職支援サービスに登録するのが一番効率的です。
とにかく、求人が少ないのですから、できるだけ多くの転職支援サービスに登録して、少しでも面接の機会を増やす事が重要です。
かくいう私は、プログラミングを授業で受けた程度の知識しかないまま、卒業後50人程度の中小企業に入社しました。
その会社でプログラマーを募集していたので入社を決めたのですが、結果的に電子回路のパターン設計にまわされ、プログラミングに携われませんでした。
結局、転職支援サービスを通じて100名規模のFA系のシステム開発会社にプログラマーとしての転職を果たしたのです。
転職してからはスポンジの様に技術を習得し、再び別の転職サービスを通じて大手企業のシステム開発子会社に転職し、今日に至っています。
今はもうプログラマーを卒業して久しいですが、それでもSEという立場から、開発メンバーのフォローという形でプログラミングに携わっています。
私の場合は未経験でも26歳という若さだったのと、プログラミングへの情熱をうまく伝えることができたため希望する会社に転職できましたが、これが30歳を超えていたら相当努力が必要だったんだろうと思います。
まとめ
30歳を超えると未経験でプログラマーに転職するのは不可能ではないが努力が必要です。
そして、本気でプログラマーになりたいなら、できるだけ早く行動すべきです。
プログラミングは独学でいいので、あるていど何か作れるくらいのレベルに達しておくことをお勧めします。
また、業務知識を最大限に生かして、前職と同じ業界のシステム開発が得意としている会社をターゲットとして狙う事と、転職エージェントの有効活用で、出来るだけ多く面接の機会を増やすことが転職への近道です。
本気で頑張ればチャンスは必ずあります。